カカオ研究所 cacaoken

レポート

チョコレート入りモレソース(モレ・ポブラーノ)発祥の街、プエブラ

2020.09.06
カカオモレを開発するため、メキシコのモレ料理に関する都市を巡ってきました。メキシコはまだまだ日本でよく知られていないので、その都市や食についてレポートしたいと思います。

今回訪れた街はメキシコシティから東に約120kmに位置する観光都市、プエブラ。
植民地時代の旧市街とともに、近郊にあるチョルーラの古代遺跡トラチウアルテペトルがユネスコの世界文化遺産に登録されています。

チョコレート入りモレソース(モレ・ポブラーノ)発祥の街、プエブラ
↑プエブラ旧市街

プエブラ市の西にあり、アステカ時代には人口約10万人にもなった大都市、チョルーラ。その中心部がトラチウアルテペトル(Tlachihualtepetl)という大神殿でした。

チョコレート入りモレソース(モレ・ポブラーノ)発祥の街、プエブラ
↑世界遺産にもなっているトラチウアルテペトル遺跡

チョコレート入りモレソース(モレ・ポブラーノ)発祥の街、プエブラ
↑遺跡の上に建つ教会

紀元前200年前から繁栄していたチョルーラは、1519年、あのスペインに初めてカカオ豆を持ち込んだ、エルナンド・コンテス率いるスペイン征服軍よって滅ぼされます。なんとも悲しい出来事なのですが、ここからスペインによる植民地化が始まります。

現在でも街中では、プエブラ独特のタイルで装飾された植民地時代の建造物を見ることが出来ます。

チョコレート入りモレソース(モレ・ポブラーノ)発祥の街、プエブラ

チョコレート入りモレソース(モレ・ポブラーノ)発祥の街、プエブラ

世界で初めてのチョコレート料理、“モレ・ポブラーノ”は、ここプエブラで生れました。
(モレ料理に関しては、こちらで詳しく説明しています。)
そのモレ・ポブラーノが生まれた修道院は現在、プエブラ民芸品美術館として楽しむことが出来ます。その敷地内の一部には、壁から天井まで全面タイル張りで覆われた当時の厨房が再現されており、原料やその歴史を知ることが出来る博物館になっています。

チョコレート入りモレソース(モレ・ポブラーノ)発祥の街、プエブラ

敷地内には美しい赤いタイル装飾の中庭があり、

チョコレート入りモレソース(モレ・ポブラーノ)発祥の街、プエブラ

その他にも、貴重なタラベラ焼や各地の民族衣装などが並べられています。

チョコレート入りモレソース(モレ・ポブラーノ)発祥の街、プエブラ

チョコレート入りモレソース(モレ・ポブラーノ)発祥の街、プエブラ

観光地でもあるプエブラは、モレ・ポブラーノが食べられるレストランが至る所にあり、そのレストランの前では、そのお店自慢のモレソースが販売されています。

チョコレート入りモレソース(モレ・ポブラーノ)発祥の街、プエブラ

お店の人がモレソースの食べ比べをさせてくれる所もあります。
さずがモレ・ポブラーノ発祥の街。ほとんどのレストランでモレ料理を楽しむことが出来ます。

チョコレート入りモレソース(モレ・ポブラーノ)発祥の街、プエブラ

近くには民芸品市場があり、多くの観光客で賑わっていました。

チョコレート入りモレソース(モレ・ポブラーノ)発祥の街、プエブラ

チョコレート入りモレソース(モレ・ポブラーノ)発祥の街、プエブラ
↑民芸品はカラフルで可愛い!

中心地から約800m北にあるシンコ・デ・マヨ生鮮市場は、プエブラ市民の生活ぶりを垣間見ることが出来ます。オアハカより販売している唐辛子の種類は少ないようですが、モレ・ポブラーノによく使う、黒くて大きなチリ・ムラートが山積みされ、需要の高さを感じます。

チョコレート入りモレソース(モレ・ポブラーノ)発祥の街、プエブラ

市場中央には、簡易食堂が並んでいて、安くて美味しいグルメを堪能することが出来ます。
隣の人がとても美味しそう食べていた具沢山スープを注文してみました。
後で調べてみると、ソパ・デ・メニュード(Sopa de Menudo)という、プエブラ風ホルモンスープ。

チョコレート入りモレソース(モレ・ポブラーノ)発祥の街、プエブラ

チョコレート入りモレソース(モレ・ポブラーノ)発祥の街、プエブラ

刻んだ玉ねぎとコリアンダー、ライムとサルサはセルフサービス。
脂の少ないホルモンをじっくりコトコト煮込んだトマトスープといった感じ。もちろん、唐辛子が入っているので辛めです。サッパリしているのに、とってもコクがあり美味しい。暑い季節にはピッタリ。
「材料はこれを煮込んでいるんだよ」ってお店の人が教えてくれ見たものは、巨大腸詰めを輪切りにしたようなソーセージ?! なかなかのインパクトでビックリ!

チョコレート入りモレソース(モレ・ポブラーノ)発祥の街、プエブラ



その他にも、チレ・エン・ノガタ(Chilrd en Nogada)という、7~9月の期間しか食べられないプエブラの郷土料理があります。
ポブラーノというこの地域で作られている青い大きな唐辛子(モレ・ポブラーノはこの乾燥した唐辛子を使用しています。)に、豚のひき肉、バナナやナッツなどを詰め、クルミを磨り潰したクリームをかけ、ザクロの果肉やパセリがトッピング。

チョコレート入りモレソース(モレ・ポブラーノ)発祥の街、プエブラ
↑チレ・エン・ノガタ(Chilrd en Nogada)

これはメキシコ国旗(赤:ザクロ、白:クルミ、緑:唐辛子、パセリ)の色を表現しており、メキシコ国民は9月15日の独立記念日に食べる特別な料理です。
日本では食べたことのない素材の組み合わせで、斬新すぎる!見た目もカラフルで楽しい一品。

セミータもプエブラ郷土料理の一つ。
揚げたお肉や野菜、チーズなどを巨大パンに挟んだローカルフード。オアハカチーズを使っているので、オアハカ名物かと思いきや、プエブラ名物だそう。
プエブラは色んな調理方法や材料をミックスして、独自の料理を作って発信することに長けている気がします。

チョコレート入りモレソース(モレ・ポブラーノ)発祥の街、プエブラ
↑たぶん、日本のハンバーガーの5倍はある大きさ。ボリューミーで、食べ応え抜群。

路上でよく見かけるアイス屋さん。
いくつもの保冷容器の中に、様々な地元フルーツで作ったアイスが売られています。日本でいうアイスと言うより、シャーベット。ミルク類は使われていません。暑かったので、ライム味にしてみました。
注文の際、「チリはどうする?」って聞かれて、何のことかわからず、ポカンとしていたら、観光で来ていた隣のアメリカ人が「メキシコでは、容器にチリをまぶして、アイスと一緒に食べるのよ。」と教えてくれました。アイスに唐辛子?!と思ったのですが、せっかくの機会なので、現地の人が食べるように唐辛子付きで注文してみました。

チョコレート入りモレソース(モレ・ポブラーノ)発祥の街、プエブラ

ライムシャーベットは甘さ控えめでサッパリして美味しかったのですが、個人的には、唐辛子なしの方が好きでした。良く考えるとベトナムでもフルーツに唐辛子の塩をかけて食べるので、暑さ対策として、唐辛子は有効なのかもしれませんね。

メキシコに上陸したスペイン人たちが、新スペインの中心にしようと選んだプエブラ。古代から伝わるカカオや唐辛子、トウモロコシなどの食材と、スペインが持ち込んだスパイスやフルーツなどを使って、今に伝わる数々のメキシコ料理が生み出されました。また逆に、16世紀にスペイン人がメキシコの食材を持ち帰ってから西洋食文化の幅が広がったことを考えると、とても興味深いですね。

メキシコ伝統のチョコレート入りモレ料理、“モレ・ポブラーノ”。
こんな食文化が残るプエブラで、どのようにして生れたのでしょうか。

興味深い歴史がありました。

世界で初めてのチョコレート料理、“モレ・ポブラーノ”レポートへ続く

本場メキシコに行って開発した、カカオ研究所のモレ・ポブラーノ、“カカオモレ”はこちら!

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