カカオ研究所 cacaoken

レポート

元祖モレソース発祥の街、オアハカ レポートPart2(チョコレート編)

2020.10.04
メキシコでチョコレートと言えば、オアハカ!と言われるくらい、オアハカにはチョコレート屋さんがたくさんあります。チョコレート専門店街があるくらい。

元祖モレソース発祥の街、オアハカ レポートPart2(チョコレート編)
↑チョコレート専門店街

家庭で代々引き継がれているレシピで作ることも多く、市場でもカカオ豆を売るお店がたくさんあります。こちらのお店は比較的カカオ豆のサイズが大きかったので特に分けていなかったですが、豆のサイズを大・小と選別し2種類に分けて販売しているお店もあります。

元祖モレソース発祥の街、オアハカ レポートPart2(チョコレート編)

さすが、カカオ原産国。お店では生のカカオポットも見つけることが出来ます。

元祖モレソース発祥の街、オアハカ レポートPart2(チョコレート編)

オアハカのほとんどのチョコレート専門店では、生のカカオ豆や焙煎したカカオ豆と一緒に砂糖、シナモン、アーモンドが一緒に売られていて、自分好みの配合でチョコレートをカカオ豆から挽いて作ってくれます。

元祖モレソース発祥の街、オアハカ レポートPart2(チョコレート編)

ズラッとカカオ摩砕機がお店に並んでいます。忙しい時は、全機械フル回転しても追いつかないそう。

元祖モレソース発祥の街、オアハカ レポートPart2(チョコレート編)

作り方は簡単。まず、お客さんが希望した配合のカカオニブとシナモンスティック、アーモンドを機械上部にある容器に入れます。

元祖モレソース発祥の街、オアハカ レポートPart2(チョコレート編)

すべて一緒にペースト状にされたものが下部に流れ落ち、そこで砂糖と一緒に手際よく混ぜ出来上がり。

元祖モレソース発祥の街、オアハカ レポートPart2(チョコレート編)


この出来立てチョコレートは日本でお馴染みのチョコレートではなく、ザラザラとしていて固まっていません。しかも砂糖は後入れで混ぜただけなので、そのまま粒が残った状態です。砂糖とスパイス入りカカオペーストといった感じです。
挽きたてのカカオは少し暖かく、出来てすぐにビニール袋や容器に入れてお客様へ提供されます。
このチョコレート家でどうするの?っと待っていた家族に聞いてみると、「自分好みの大きさに丸め固めて、家庭でショコラトル(チョコレートドリンク)を楽しむのよ。」と教えてくれました。各家庭で好みの味が引き継がれ、結婚式やお祝いの時の、贈答品にも使われるのだとか。また、家庭でモレソースを作る時にも使います。

元祖モレソース発祥の街、オアハカ レポートPart2(チョコレート編)
↑出来上がりを待つ子供たち。
待ちきれない様子が伝わってきますね。

元祖モレソース発祥の街、オアハカ レポートPart2(チョコレート編)
↑上画像のようにチョコレートが温かいうちに家庭で、1人分ずつ丸め固められます。
固まると白っぽく、すぐにボロッと割れてしまいます。これは、テンパリングという温度調整がされていないことによるのですが、お湯やホットミルクで溶かして飲むためのチョコレートなので、割れやすく溶けやすい方が良いのかもかれませんね。

その他にお店では、カカオのみ挽いたペーストを、大きな容器に入れられて量り売り。

元祖モレソース発祥の街、オアハカ レポートPart2(チョコレート編)

興味を持ったのはこちらのお店、生のカカオ豆も販売しているのですが、発酵、水洗い無発酵のもの2種販売されていました。せっかくのカカオ豆を水で洗って、発酵をしないのか?!と、Bean to Barチョコレートを作っている私達にとっては、メキシコ産カカオ豆のクオリティを日本で知っていただけに、驚きがありました。この後訪れたタバスコ地方のカカオ農園の方に話を聞いた際、国内向けは水洗いしてそのまま乾燥した未発酵を販売し、発酵したカカオ豆は海外向けに作っていると言われていたので、手間の問題もあるかと思いますが、発酵豆はメキシコでは重要度が低いのかもしれません。
私達のようなBean to Barチョコレートを作っているブランドが使っているカカオ豆は、必ず発酵したカカオ豆を使用します。香りや味がより豊かになり美味しいチョコレートが作れるからです。メキシコでの無発酵カカオ豆販売は、新しい発見でした。

元祖モレソース発祥の街、オアハカ レポートPart2(チョコレート編)
↑発酵済と無発酵のカカオ豆。
やはり、発酵した豆の方が高いですね。

お店ではチョコラテはもちろん、モレソースを使った料理なども提供されていて、カカオ専門店として多くのお客様で賑わっていました。
今回は外がとても暑かったので、冷たいドリンクを注文。
たっぷり泡が立てられていてボリューミー。きめ細かな泡なので、ボリュームはありますが、軽い口当たり。私達のお店で提供しているドリンクはドロッとしていて濃厚なのですが、オアハカのショコラテは、水分の割合が多く、どちらかと言うとサラッとしていてグビグビ飲める感じです。

元祖モレソース発祥の街、オアハカ レポートPart2(チョコレート編)



家庭でドリンクを作る際は、今でもモリニーニョという木製の泡立て器を使い、昔を変わらないスタイルで今でも愛飲されています。

元祖モレソース発祥の街、オアハカ レポートPart2(チョコレート編)
↑ショコラテを作るのには欠かせない、モリニーニョ。
先端の中が模様に沿って空洞があり、その空洞に液体が入ったり、出たりすることによって、泡立ちます。

オアハカの街で売られているチョコレートのタイプは、主に3パターンあります。
左上:市場のお母さんがカカオ豆からすり潰して作ったもの。
真ん中:大豆くらいの(約1cm)大きさで、そのまま一口で食べるチョコレート。
右:大きな型に入れて、成型したチョコレート。長期保存のため、アルミ紙で包んでいます。
他の2つは、そのままビニール袋に入れられ売られています。

元祖モレソース発祥の街、オアハカ レポートPart2(チョコレート編)

メキシコではチョコレートを、お湯やミルクで溶かしてドリンクとして飲むのが一般的です。そのまま食べる用チョコレートよりドリンク用としてのチョコレートの方が多く売られています。
通常舌触りを良くするため、より細かくすり潰す“テンパリング”という作業を行うのですが、これらすべてのチョコレートはテンパリングを行っていません。ドリンクやモレ料理に使う場合は水分と一緒に合わせるので、あまり気になりませんが、そのまま食べるチョコレートは少しざらつきがあります。口の中で溶かして味わうより噛んで香りを楽しむチョコレートといった感じです。
これら、それぞれのお店オリジナルのレシピで作られたチョコレートですが、これらすべてのチョコレートに砂糖はもちろんですが、シナモンも入っています。メキシコのチョコレートにはシナモンは必須のようです。
また、これらすべてのチョコレート、乳化剤や香料などの添加物は入らず、原材料はとてもシンプル。素材をいかすチョコレート作りは、私達の作るチョコレートとの共通点を感じます。

今回、オアハカのご家庭で、いつも飲んでいるショコラトル(チョコレートドリンク)を作っていただきました。
温めたホットミルクにチョコレートを人数分いれ、一緒に溶かします。
ドリンク専用の陶器に入れ、モリニーニョを回転させリズミカルに泡立てます。

元祖モレソース発祥の街、オアハカ レポートPart2(チョコレート編)

元祖モレソース発祥の街、オアハカ レポートPart2(チョコレート編)

元祖モレソース発祥の街、オアハカ レポートPart2(チョコレート編)

良く混ぜ泡立てたら、出来上がり!

元祖モレソース発祥の街、オアハカ レポートPart2(チョコレート編)
↑シナモンのスパイス加減が丁度良く、サッパリ飲むことが出来ます。サラサラしていて、ココアのような口当たりです。やはり、添加物など余計なものが入っていないシンプルなレシピで作られたドリンクは美味しい。

世界各国のカカオ産地に行きましたが、ここまでカカオが一般家庭に根付いている国はないです。カカオは栽培しているけど、チョコレートは食べたことがないなど、生産国ではよく聞く話ですが、メキシコではほとんどのカカオ豆が国内で消費されます。なので、メキシコのカカオ豆は世界にあまり出回らないのです。メキシコは、私が思っていた以上にカカオが人々にとってとても身近な国でした。
メソアメリカ文明から変わらない文化を今でも体感することができ、本当に感激しました。
オアハカの昔から変わらない伝統の継承、これからもぜひ残していって欲しいです。

チョコレート入りソース、カカオモレの商品はこちらから

元祖モレソース発祥の街、オアハカ レポートPart1
世界で初めてのチョコレート料理、“モレ・ポブラーノ”
チョコレート入りモレソース(モレ・ポブラーノ)発祥の街、プエブラ