カカオ研究所 cacaoken

レポート

共に助け合いプロジェクト No.1 海苔チョコレート

2021.03.07
コロナ禍、私達にも何かできることはないだろうか?
そんな気持ちから生れた「海苔チョコレート」

昨年(2020年)、福岡県の海苔養殖業を営む方がお店にご来店した時、実際に起こっている海苔業界の現状を知りました。新型コロナウイルス影響より受けている海苔業界の現状を。

ご存じの通り、飲食業界は大きな打撃を受けています。新型コロナ感染拡大を防ぐための外出自粛による来客数の減少により、強い向かい風を受けており、店によっては営業ができなくなったり、店を開けても自粛モードにより客足がつかなかったりと、経営が苦しい店舗が多くあります。昨年比90.5%減となる大幅な落ち込みを記録した店舗も多いのです。
そこへ食材を提供できないといった事態を受け、食品製造メーカーや卸会社で行き場を失った食料品が出始め、食品廃棄も問題になっています。

無形文化遺産にもなった和食に多く使用される“海苔”

普段何気なく食べている海苔。実は、奥深く日本が誇る日本伝統文化が深く関わっており、最も古い記述は、飛鳥時代。朝廷への年貢の対象物など高級品として扱われていたほどです。
今でも上質な海苔は、流通量の少なさから中々一般購入することが出来ず、私達が味わえる機会がほとんどありません。

元来、海苔は江戸の特産物として扱われていましたが、やがて全国に養殖の技術が広がっていき、現在では有明海産海苔は品質、生産量共に日本一の産地になりました。
春~夏にはタネづくり、秋には網にタネをつけ海苔の芽を育て、秋~冬~春にかけて海に海苔網を広げ養殖、収穫、入札に出品というサイクルで回ります。
海苔のタネを付けた網は11月~12月用(秋芽)と1月~初春用(冷凍)に分けられ、タネの付いた海苔網は秋芽収穫の間、冷凍庫にて保管されます。
秋芽網で1回目に取れた海苔、及び冷凍網の1回目に取れた海苔が「初摘み」「一番摘み」と名乗る事を許され、柔らかく豊かな香りが特徴です。その中でもさらにランクがあり、ツヤやキメ細かさ色合いなどで等級が決まる、とても奥深い食材なのです。

共に助け合いプロジェクト No.1 海苔チョコレート
左:上質な海苔。色が黒く艶がありキメも細かい。
右:春に収穫される海苔。
画像は焼く前の生海苔の状態ですが、見た目からも品質の違いが歴然です。

本来であれば、「初摘み」「一番摘み」の上等品は、高級日本料理店などに販売されるのですが、新型コロナウイルスの影響でその上質な海苔が行き場を失っています。
お恥ずかしながら、私達も今回食べ比べるまで海苔を意識しておらず、こんなにも上質な海苔は美味しく香り豊かなのかと改めて実感しました。

私達の得意分野でもあるカカオと融合させることで、新しいイノベーションを起こすことが出来るのではないか?

そんな思いを描いていた時に、声をかけていただいた地元で活躍されている嶋田商店さん、海苔の総合商社、小浅商事株式会社さんと一緒に開発し生まれた「海苔チョコレート」

等級により変化する風味の違いなど、試作を重ねるうちに、カカオと融合させることで、海苔の特徴をさらに引き立てることを発見しました。

カカオ豆に含まれるココアバターは、約28℃前後で溶け、30℃には完全に溶けてしまう特徴があり、チョコレートが口の中で溶けて風味が広がるのは、このココアバターが関係しています。この海苔チョコレートも同様に、口に含むと口の中の温度でココアバターが溶けて、海苔の風味が口いっぱいに広がります。

海苔単体で食べるより、ココアバターと一緒に味わうことで、口の中で広がる風味が倍増するように感じました。また、ココアバターで海苔をコーティングすることで、海苔の風味が閉じ込められチョコレート1枚に濃縮されています。
今回、新型コロナウイルスやオリンピックの延期を受け、一般には流通しにくい「初摘み」福岡有明海苔の中でも最上位グレードを原料に使用した「特選」海苔を使用。香り豊かな2種類のチョコレートを開発しました。

共に助け合いプロジェクト No.1 海苔チョコレート

海苔を極限まで加えた「海苔チョコレート」
チョコレートの特徴を活かしつつ、海苔本来の風味も感じられる「海苔ミルクチョコレート」

それぞれの商品の魅力が最大限に表現された2商品。
是非、お楽しみください。

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