カカオ研究所 cacaoken

レポート

まだ目覚めていない香りを引き出す、カカオ豆の選別と焙煎

2021.11.21

選別:異物を取り除く

まだ目覚めていない香りを引き出す、カカオ豆の選別と焙煎

Bean to Barと言われるチョコレートは、各国のカカオ生産国から送られてきた豆を検査・選別除去するプロセスからスタートします。

私達が一緒に取り組んでいるベトナム農家さんのカカオ豆はきちんと管理されており、とても綺麗なので選別する必要がほとんどないのですが、各国それぞれ農家によっては、屋外で乾燥することも多く、小枝や小石などが入っていたり、物理的な汚染、昆虫の損傷、チョコレートの風味に影響を与える可能性のある穴の開いた豆や壊れたもの、平らなものなどを取り除きます。
手間がかかりますが、安全にかつ美味しいチョコレートを作るにはとても重要な作業です。

この選別作業を行い良質なカカオ豆だけを焙煎していきます。

まだ目覚めていない香りを引き出す、カカオ豆の選別と焙煎

焙煎

まだ目覚めていない香りを引き出す、カカオ豆の選別と焙煎

チョコレートの香りを決定づける上で、とても重要な製造工程の一つ。 
焙煎することで、発酵・乾燥時に生み出された物質から、チョコレート特有の香りや香ばしさを引き出す効果があります。酸味と渋味が減少するだけでなく、色調の変化、水分の蒸発に加え、殺菌効果もあるので、安全に食べることが出来、さらには、豆を覆う外皮と中身が分離し、その後の粉砕作業で処理しやすくなるという特徴もあります。

まだ目覚めていない香りを引き出す、カカオ豆の選別と焙煎

◆焙煎の方法

  • 豆ロースト・・・外皮が付いたまま焼く
  • ニブロースト・・・ニブ状に砕かれた状態で焼く
  • リカーロースト・・・生のニブからカカオマスを製造してから加熱する
  • パウダーロースト・・・生カカオマスからココアバターを搾油して得られる生カカオパウダーを加熱する

*主流は豆ロースト法。Bean to bar 専門店もこの方法を採用していることがほとんどです。

◆焙煎機の種類

  • 極小ロット、手作り体験ワークショップなど・・・フライパン
  • 小~中ロット・・・ロースター(ドラム式・連続式熱風焙煎機など)、オーブン(コンベクションオーブンなど)
  • 大ロット・・・大型ロースター

◆焙煎温度・時間による香りと味の変化

まだ目覚めていない香りを引き出す、カカオ豆の選別と焙煎

焙煎時は「メイラード反応」(アミノ酸と糖を原料に香りを発生させる)が起こっています。そのため、発酵されていない(アミノ酸が生じていない)豆からは香りが引き出せず、焦げてしまい、繊細な香りを損ない、苦味も強くなります。

珈琲やパン、焼き鳥やステーキなどの美味しそうな香りも同じメイラード反応で香味成分が生成されています。

焙煎温度と時間は一般的に、130℃で45分程度といわれていますが、カカオの品種、水分、容量、サイズによって異なります。各メーカーは、温度とタイミングを調整して、それぞれのカカオ豆に合った最適なフレーバーを抽出します。

他の食材と違って、焙煎前と後での色の変化があまりなく、カカオ豆は脂肪分が多く熱がまわりやすいため、細心の注意を払う必要があり、とても神経を使う工程でもあります。

カカオ豆が焙煎されることで生じる香りは1000種類以上!
残したい風味、作りたい風味のバランスを考えながら作業を行い、最終的な香りをイメージすることが大切です。

お店で販売されている「手作りキット」は、生カカオ豆も付いており、ご家庭でもチョコレートを作ることが出来ます。香りの変化や色味などカカオ豆の持つ特徴を体験し、ぜひ焙煎の面白さに触れてみてくださいね!


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