カカオ研究所 cacaoken

ベトナムの研究室

vietnam

ベトナムの研究室とは
美味しいチョコレートを作るためには上質なカカオがとても需要です。
私達はカカオ研究所をはじめるきっかけにもなったベトナム産カカオの研究を、2016年から現地農園と一緒にスタートしました。
ベトナム農園での苗の栽培や収穫、発酵、乾燥は、カカオ栽培国で行わなければならない大事なプロセス。これらがうまく行えていなければ、上質なカカオ豆を作ることが出来ません。
せっかく手間をかけて作ったにも関わらず高価な値段でカカオ豆を販売することが出来ないため、農家の収入が安定せず、近年カカオ生産を辞めてしまう農家も増えてきています。
そこでベトナム研究室ではカカオ農家と協力し様々な課題に取り組んでいます。
  1. ①農家が自立して安定した収入を得るためのサポート
    ベトナムには約2万人のカカオ農家があり、その大部分は1Ha以下のきわめて極少の農家が中心となって栽培されています。また依然として少数民族の貧困層がカカオ栽培を続けています。そこで、カカオ研究室ではカカオ豆の買取りだけではなく、農家が副収入を得るために様々な活動も行っています。
  2. ②付加価値の高い農産物として、カカオ栽培および加工技術の提案
    独自開発した発酵技術を使い、より高品質の付加価値の高いカカオ商品を作ることで、カカオ産業の発展に貢献していきたいと思います。
  3. ③ベトナム高品質カカオのブランディング
    カカオ研究室の実験農園があるラムドン省ではカカオ依然として低価格商品の生産にとどまっています。最終商品であるチョコレートをラムドン省で製造することによる高度加工プロセスを地域産業として確立したいと思っています。
    HIGHLAND CACAOとしてブランド化を推進し、より高い付加価値を作っていきたいと思っています。
  4. ④フェアトレード商品としてカカオ存在の変化へのシステム構築
    カカオ農家の低生産性が児童労働の問題につながっています。栽培方法を変え、収穫増加し6次産業化するためのシステム構築することで、農家と都市の所得格差問題や人や国の不平等の解消、また高度化された農業が各国のカカオ生産国のロールモデルとなることを目指しています。
  5. ⑤複合栽培、多角化経営農業の実現
    カカオの木は低く、ココナッツやカシュナッツ、ゴムの木といった高い木の下で栽培することで農家にとっては多品種の作物栽培する複合栽培ができ、総合的な収入増が可能になることで、多面的な農村環境を維持することを推進しています。

チョコレートができるまで
~Farm to Cacaoの流れ~

カカオ研究所のカカオ実験農園は、ビンフォック省ブニョ村にあります。
カカオ研究所のカカオ実験農園は、ビンフォック省ブニョ村にあります。
実験農園の看板
実験農園の看板
カカオ栽培から発酵、乾燥までのプロセスを農園で行います。
カカオ栽培から発酵、乾燥までのプロセスを農園で行います。
カカオの木は3~5年かけて大切に栽培されると、開花し実をつけます。カカオの栽培は簡単には機械化できず、手作業で行われることが多く、人手がかかります。
とても大変な仕事です。
https://cacaoken.com/report/vietnam/vietnam002/
このように一つずつカカオの実を手作業で収穫していきます。
このように一つずつカカオの実を手作業で収穫していきます。
一箇所にまとめて熟成させます。
一箇所にまとめて熟成させます。

カカオの実から豆を取り出し、そのカカオ豆を発酵しますが、とても難しい工程です。温度管理、湿度、時間などを間違ってしまうと風味豊かな香りを作り出すことができません。
日本人は昔から発酵食品に親しみがあると同時に、その発酵技術は素晴らしく、世界に誇れる技術だと思っています。その発酵技術と知識を使い、より美味しくカカオ豆が作れるではないだろうかと日々研究しています。
通常、世界のカカオ産地、もちろんベトナムでもバナナの葉っぱで覆い、自然発酵させることが多いのですが、発酵の進行に多少のバラつきが出るのですが、2019年カカオ研究室では独自酵母菌を加えることで、より上質なカカオ豆ができ、さらにはカカオ豆全体を均等に、発酵促すことを発見しました。この発見により、より香り高く品質の安定性が高いカカオ豆が出来るようになりました。

発酵
発酵
乾燥
ベトナム農園では屋根のある屋外で乾燥します。乾燥中には、1日に数回撹拌されながら、豆全体をまんべんなく乾燥させていきます。その際に、小さな豆や発酵がうまく出来なかったカカオ豆を取り除いて、良い豆だけ選別し乾燥させます。
→発酵と乾燥レポート
乾燥後、ようやく日本へ出荷されます。
乾燥後、ようやく日本へ出荷されます。
2019年、カカオ研究室はベトナムのラムドン省にチョコレート工場と販売店を作り、ベトナム国内外に商品を販売することもスタートしました。
2019年、カカオ研究室はベトナムのラムドン省にチョコレート工場と販売店を作り、ベトナム国内外に商品を販売することもスタートしました。
日本同様の手順(焙煎→粉砕→風選→摩砕→コンチング→テンパリング→成型)で、チョコレートも作っています。
日本同様の手順(焙煎→粉砕→風選→摩砕→コンチング→テンパリング→成型)で、チョコレートも作っています。
焙煎
焙煎
選別
選別
コンチング1
コンチング1
コンチング2
コンチング2
パッケージング
パッケージング
完成
完成
ベトナム工場では、チョコレートに加え、自家製カカオパウダー、カカオバターも製造しています。
ベトナム工場では、チョコレートに加え、自家製カカオパウダー、カカオバターも製造しています。
カカオ生産国ならではの、カカオパルプ(カカオ果肉)から作ったワインやシロップも製造しています。フレッシュなカカオパルプからしか作れないので、カカオ農園ならではの商品です。
カカオ生産国ならではの、カカオパルプ(カカオ果肉)から作ったワインやシロップも製造しています。
フレッシュなカカオパルプからしか作れないので、カカオ農園ならではの商品です。

気候変動、病害、農家の貧困、後継者問題――などなど、カカオ栽培するには問題が山積みです。また従来チョコレートを食べていなかった国々の需要も増え、カカオとチョコレートの需給バランスも急速に崩れてきています。
チョコレートを楽しむためには私達も引き続き、継続的なカカオ生産者支援をしつつ、開発商品を通して、できる限りカカオ生産国の現状を理解し、支えることが必要と考えています。